何が違うの?「電子投票」「インターネット投票」
選挙や意識調査の場面で「電子投票」と「インターネット投票」という用語が登場し、それぞれ異なる形で活用されています。しかし、両者の違いを明確に理解している人は少なく、混同されることも多いようです。この記事では、それぞれの特徴や手順、関連する概念について詳しく解説します。
目次
電子投票とインターネット投票の違い
電子投票とインターネット投票は、どちらも従来の紙による投票に代わる仕組みとして導入が進んでいますが、その実施方法や仕組みに明確な違いがあります。
電子投票とは?
電子投票とは、従来の紙を使用した投票に代わり、電子機器を利用して投票を行う仕組みを指します。これは、投票所に設置された専用の機器を使って行われるもので、投票者が直接操作する形が一般的です。紙の使用を減らし、集計を迅速化できるメリットがある一方で、投票所に設置する機器やシステムのコストが課題とされています。
主な特徴
- 投票所での利用を前提としている。
- 専用の電子機器を用いる。
- ネットワークに接続しないことが多い(投票所内で電子投票機と記録機を接続する閉鎖的ネットワークを除く)。
電子投票の手順とは?
電子投票の基本的な手順は以下の通りです。
- 投票所での本人確認
投票者が投票所に到着すると、身分証明書などで本人確認を行います。 - 電子投票機の操作
本人確認が完了すると、専用の電子投票機(タッチスクリーンやボタン式)に誘導されます。 - 候補者の選択
投票者は画面に表示される候補者のリストから選び、ボタンを押して投票します。 - 投票内容の確認
一部のシステムでは、最終的な確認画面が表示され、選択内容をチェックできます。 - 投票完了
投票が完了すると、システムがデータを記録し、次の投票者を受け入れる準備に戻ります。
インターネットに繋げない電子投票とネットに繋げる電子投票がある?
電子投票には、大きく分けて「ネットに繋げない電子投票」と「インターネットに繋げる電子投票」が存在します。「インターネットに繋げる電子投票」を一般にインターネット投票と呼んでいます。それぞれにメリットとデメリットがあります。
ネットに繋げない電子投票
- 特徴
投票所で使用される専用機器で行われ、インターネットには接続しない。 - メリット
サイバー攻撃のリスクが低く、公正性が担保されやすい。 - デメリット
物理的な制約があるため、有権者は投票所に行かなければならない。
インターネットに繋げる電子投票
- 特徴
インターネット経由で投票結果を送信できるシステム。 - メリット
有権者がインターネット経由で投票するため投票所の設置が不要で、投票結果の集計も迅速。 - デメリット
サイバー攻撃や通信障害などのリスクが高まる。
インターネット投票とは?
インターネット投票とは、電子機器を使う点では電子投票と共通しますが、インターネットを介して投票が行われる仕組みです。自宅や職場、海外など、どこからでもアクセス可能なため、特に物理的な投票所に足を運べない人々にとって利便性が高いとされています。
主な特徴
- インターネットに接続する環境が必要。
- 投票所に行く必要がない。
- セキュリティリスクが課題。
インターネット投票の手順とは?
インターネット投票の基本的な手順は以下の通りです。
- 専用サイトやアプリへのアクセス
有権者は、投票用に指定されたウェブサイトやアプリにログインします。 - 本人確認と認証
マイナンバーや生体認証などを用いて、有権者本人であることを確認します。 - 投票内容の選択
投票者は画面に表示された候補者のリストや政策案の中から選択し、決定ボタンを押します。 - 確認と送信
選択内容を確認し、投票を確定します。このデータはインターネットを介して投票システムに送信されます。 - 完了通知
投票が正常に完了した旨の通知が表示されます。
ネット投票とWeb投票の違い
また、「ネット投票」と「Web投票」という言葉が使われることがありますが、これらにも若干の違いがあります。
- ネット投票
インターネットを介して行う投票全般を指します。住民投票や意識調査、さらにはテレビ番組の視聴者投票など、さまざまな用途に広がります。 - Web投票
主にウェブサイト上で行われる投票を指し、アンケート形式の投票や簡易的な調査に用いられます。セキュリティが簡易的である場合が多く、公式な選挙には向きません。
国によって違う、電子投票・インターネット投票の呼び方
電子投票やインターネット投票は、国や地域によって異なる呼称で呼ばれることがあります。
- エストニア: i-Voting(インターネット投票)
エストニアは世界初の全国規模のインターネット投票を導入した国で、そのシステムは「i-Voting」と呼ばれます。 - アメリカ: Electronic Voting Machines(電子投票機)
アメリカでは、主に投票所で使われる電子投票機が中心です。 - 日本: 電子投票
日本では、地方自治体の選挙で導入例があるものの、ネットを介さないシステムがほとんどです。
まとめ
電子投票とインターネット投票には、利用される場所や目的、技術的な仕様に大きな違いがあります。電子投票は主に投票所で利用される閉鎖的なシステムであるのに対し、インターネット投票はネットワークを活用して遠隔地からでも投票可能です。ただし、どちらも課題が残るため、技術の進化と信頼性の向上が求められています。これらの違いを理解し、各国の事例を参考にしながら、自国に適した制度を構築することが重要です。